2011年10月31日月曜日

平成12年・二次試験-電力・管理【問5】


電力系統を連系するメリット及びこれに伴う短絡容量の増大に対する抑制対策について述べよ。                  



【解答】
電力系統を連系するメリット
①安定度の向上
 複数の電力系統を連携することにより供給力が増大し、安定度が向上する。
②設備の経済運用
 供給力の増加により、各々の系統の供給予備力を減少することができ、設備の経済運用を図ることが可能となる。
③供給信頼度の向上
④常時供給力の増加
 複数の電力系統において河川流量に不等性があるため、常時供給力の増加を図ることができる。
⑤経済的な電源開発
 発電設備の大容量化が図れ、経済的な電源開発が可能となる。

短絡容量の増大に対する抑制対策
①発電機、変圧器等のインピーダンスを増大させることにより短絡電流を減少させる。
②特定の線路が過負荷になることによりその周辺の線路も連鎖的に過負荷となることを予防するために、送電電圧に上位電圧階級を採用し、送電系統を分割する。
③直流連系により事故時の無効電力潮流を遮断し、短絡電流の抑制を図る。

平成13年・二次試験-機械・制御【問3】


 図1は交流50[Hz]系統と60[Hz]系統とを連系する他励式周波数変換装置の主回路構成を示す。Conv1及びConv2は逆阻止三端子サイリスタを用いた三相ブリッジ結線の交直変換装置、TR1及びTR2は変換器用変圧器、DCLは直流リアクトル、SC1及びSC2は電力用コンデンサを表す。
両変換装置の交流側線間電圧Vr(実効値)がいずれも2000[V]であるとして次の問に答えよ。
ただし、サイリスタ転流時の重なり角、変換装置及び直流リアクトル内の損失は無視できるものとする。

図1

(1)図2の波形を参照し、三相交流電圧をとして直流平均電圧Vdを求めよ。ただし、制御遅れ角α[rad]は0≦α≦π/3の範囲にあるものとする。
図2略
(2)逆変換動作時の制御進み角βの制限値をπ/6[rad]とし、直流電流Idが1000[A]の場合、系統間で授受できる最大電力Pmax[kW]を求めよ。
(3)50[Hz]系統から60[Hz]系統に(2)で求めたPmax[kW]を送る場合について、Conv1の交流入力側の所要無効電力Q1[kvar]を求めよ。ただし、入力側交流電流は通流角2π/3[rad]の方形波であり、その基本波成分の実効値Ir1[A]とする。
(4)50[Hz]系統から60[Hz]系統に(2)で求めたPmax[kW]を送る場合に、50[Hz]側受電点の力率が1となるようにSC1の容量[kvar]を設定した後、その容量を固定したまま授受する電力を1500[kW]に変更した場合、受電点での力率を1に保つために必要なConv1の制御遅れ角α1[rad]と直流電流Id[A]を求めよ。
なお、計算で三角関数が必要な場合は次表を利用してもよい(中間値は比例計算せよ)。

θ[°]40414243444546
cosθ0.76600.75470.74310.73140.71930.70710.6947



【解答】

平成13年・二次試験-電力・管理【問5】


次の表は石炭火力発電所における環境対策のうち、大気汚染物質の低減技術についての概要を記述したものである。
表中のA、B及びCの記号を付した空欄に記入すべき事項を次の解答方法に従って答案用紙に記入しなさい。

解答方法
Aは大気汚染物質の名称を記入すること。
Bは硫黄酸化物の低減技術について、窒素酸化物の低減技術の記述例を参考に装置の設置とその他の対策に分けて記述すること。
Cは窒素酸化物の発生原因(発生過程)を二つ挙げ、簡潔に記述すること。

大気汚染物質発生原因大気汚染物質の低減技術
A燃料中の灰分から発生する。 ①防止設備の設置
電気集じん装置や機械式(遠心式)集じん装置を設置して排煙から汚染物質を除去する。
②燃焼方法の改善
自動燃焼制御システムを採用し、出力変動時の汚染物質の発生量を低減する。
硫黄酸化物
(SOx)
燃料中の硫黄分が燃焼により空気中の酸素と反応して発生する。 B

窒素酸化物
(NOx)

C
①排煙脱硝装置の設置
乾式法には、代表的な方法として排ガス中にアンモニアを注入して触媒によりNOxを窒素と酸素に分解する接触還元法があり、他に無触媒還元法、乾式活性炭法、電子線法などがある。
湿式法には、アルカリ吸収液にNOxを吸収して除去するアルカリ吸収法の他、酸化還元法、酸化吸収法などがあるが、全般的に開発段階のものが多い。
②その他の対策
燃焼温度の低減、高温域での燃焼ガスの滞留時間の短縮、酸素濃度の低減などの燃焼方法の改善がある。
具体的には二段燃焼法、排ガス混合燃焼法、低NOxバーナの採用などがある。



【解答】
A ばいじん

B 
①排煙脱硫装置の設置
ア 乾式法:活性炭・活性二酸化マンガンなどの固体吸着剤にSO2を吸着させ除去する。
イ 湿式法:アンモニア・石灰石などの溶液またはスラリー液(固体が混ぜ合わさった液体)にSO2を吸着させ除去する。
②硫黄分の少ない燃料の使用
硫黄分の含有が少ない低硫黄石炭を使用する。
③その他の対策
流動層燃料ボイラにおいて、流動媒体に脱硫剤を注入することで、炉内脱硫を行う。

C 燃料に含有する窒素が空気中に含有する酸素と反応して発生する。
空気中に含有する窒素が空気中に含有する酸素と反応して発生する。
また、燃焼温度が高いほど窒素酸化物は発生しやすい。


平成13年・二次試験-機械・制御【問2】


次の表は、同期電動機のトルクに関する記述である。表中の表現にならって、空欄(1)~(4)について説明せよ。
始動トルク定義トルクに関係ある項目の内容
始動トルク 電動機が始動期間中に発生するトルクである。
なお、同期電動機では、始動時に回転子磁極の受ける平均トルクは零である。
[制動巻線の効果]


(1)



引入れトルク(2) [負荷角]
・励磁を加える瞬間における負荷角が、同期引入れの難易に影響を与える。
・負荷角が小さいとき、同期引入れは容易である。
[はずみ車効果]
一般に、はずみ車効果が小さい方が同期引入れは容易である。これがある限度を超えると、同期引入れができないことが起こる。
脱出トルク(3) [負荷トルク]
(4)



【解答】
(1)
・制動巻線は、誘導電動機の回転子として動作することから始動用巻線として使用することが可能である。
・制動巻線の抵抗は大きければ始動トルクが増大する。
・制動巻線を深溝型や二重かご形として構成することで始動トルクが増大する。

(2)電動機の回転子が同期速度に近づいたとき、負荷の慣性モーメントに打ち勝って同期化できる最大負荷トルク。

(3)電動機が同期外れを起こす直前の大きさのトルク。

(4)負荷トルクが脱出トルクより大きくなると、同期電動機は停止する。

平成13年・二次試験-機械・制御【問1】


定格電圧600[V]、定格電流220[A]、定格出力120[kW]、定格回転速度1700[min-1]の直流分巻電動機がある。電機子回路の全抵抗は0.140[Ω]、界磁回路の抵抗は200[Ω]、固定損は3[kW]である。
励磁損は負荷電流にかかわらず一定、漂遊負荷損は負荷電流の2乗で変化するものとして、次の値を求めよ。
ただし、電機子反作用は無視するものとする。

(1)定格負荷時の効率η[%]
(2)定格負荷時の漂遊負荷損Ps[kW]
(3)定格負荷時の速度変動率ε[%]
(4)負荷電流が定格の50[%]のときの効率η'[%]
(5)負荷トルクが定格の50[%]のときの回転速度n'[min-1]



【解答】
作成中

2011年10月28日金曜日

平成22年・二次試験-機械・制御【問3】


 ダイオードによる単相全波整流回路によって交流電圧から直流電圧を得るには次の三つの代表的な方法があり、それぞれの方法において交流電流波形は異なる。交流電圧はで交流電源のインピーダンス、重なり角などを無視し、回路が定常状態にあるものとして、次の問に答えよ。

(1)図1-1の回路において、平滑リアクトルのインダクタンスは十分に大きく、直流電流は一定とする。このとき、図1-2と同じ図が答案用紙に印刷されているので、交流電圧eの波形に対する交流電流iSの波形をふと線で明確に描け。
また、このときに抵抗負荷に印加される平均直流電圧Ed1をEを用いた式で示せ。
(2)図2-1の回路において、平滑コンデンサのキャパシタンスは、交流電源からの充電電流と負荷電流とによる直流電圧edの変動が図2-2に示す程度になる大きさとする。また、交流電源側に充電電流の過大なピーク値だけを抑える微小なインダクタンスLACを挿入している。このとき、図2-2と同じ図が答案用紙に印刷されているので、交流電圧e及び直流電圧edの波形に対する代表的な交流電流iSの波形をふと線で明確に描け。また、負荷抵抗がないときの平均直流電圧Ed2をEを用いた式で示し、直流電流が増加すると平均直流電圧は上昇するか低下するかを述べよ。
(3)図3-1の回路において、交流電圧の周波数に対して十分高い周波数でバルブデバイスQをオン、オフすることにより、直流電圧を目標値に制御しながら、同時に、交流電流の波形を力率1の正弦波電流基準に従って制御できることが知られている。このとき、図3-2と同じ図が答案用紙に印刷されているので、交流電圧eの波形に対する交流電流iSの波形の例を太線で明確に描け。
また、全波整流回路の直流出力電圧erecと抵抗負荷に供給される直流電圧edcとを比較して、この回路が正常に動作している時の両者の大小関係を述べよ。




【解答】
準備中

平成22年・二次試験-機械・制御【問1】


 200[V]、5.5[kW]、50[Hz]、6極の三相かご形誘導電動機の拘束試験の結果は次のとおりである。
 線間電圧VS=40[V]、線電流IS=22[A]、三相入力PS=620[W]
 この電動機をV/f制御のインバータで駆動する。始動の際、インバータの電圧及び周波数の調整機能を利用して、始動周波数を数ヘルツとすることによって始動電流を抑えることができる。
 励磁電流が無視でき、また、電気的過渡現象も無視できるものとして、次の問に答えよ。ただし、問及び回答で用いる記号を以下に示す。
 fN:定格周波数[Hz]、VN:定格電圧(線間電圧)[V]、
 r1:一次抵抗[Ω]、x1:一次漏れリアクタンス[Ω]、
 r2:二次抵抗[Ω]、x2:二次漏れリアクタンス[Ω]、
 ここで、r2、x2はいずれも一次換算値である。また、x1、x2は定格周波数におけるリアクタンスであり、電動機の巻線抵抗及び漏れインダクタンスは電圧及び周波数の変化に対して一定を保つものとする。

(1)r1+r2[Ω]及びx1+x2[Ω]はいくらか。
(2)始動時のインバータの出力周波数をfL[Hz]とするとき、始動トルクを全電圧始動(定格周波数)で得られるトルクと等しいトルクで始動させるためのインバータの出力電圧VL(線間電圧)[V]をfLと上記の記号を用いた式で表せ。
(3)上記(2)において、始動電流が22[A]となるfL[Hz]及びVL[V]はいくらか。



【解答】
準備中

平成22年・二次試験-機械・制御【問4】


 図1に示す制御対象と図2に示すフィードバック制御系について、次の問に答えよ。ただし、U(s)は操作量、X1、X2は状態変数、Y(s)は出力、R(s)は目標値、E(s)は偏差を表し、時間信号u(t)、x1(t)、x2(t)、y(t)、r(t)、e(t)をそれぞれラプラス変換したものである。


図1


図2



【解答】

2011年10月27日木曜日

平成16年・二次試験-電力・管理【問4】


 図に示すような電力系統において、点fで故障点抵抗(1相分)をRとして三相短絡が発生した場合、点aの短絡距離リレーは点fまでの実際の距離より何パーセント遠方に距離を判定するか計算せよ。ただし、図に示した電流値は、計器用変成器二次側に換算した値であり、定数はA電源のみの場合における同リレーが見るインピーダンスとする。なお、sin15°=0.26として計算せよ。


(注)断路器、遮断器等の記載は省略してある。



【解答】

平成15年・二次試験-電力・管理【問4】


 図のように、三相3線式の特別高圧送電線に、高調波を発生する6.6[kV]の三相機器(以下、高調波発生機器という。)を有する需要家が接続されている。この高調波発赤機器の定格入力は500[kV・A]であり、発生する第5調波電流の大きさは定格入力電流に対して19[%]である。これについて、次の各問に答えよ。
 この場合、需要家の受電用変圧器二次側の母線電圧は6.6[kV]、受電点からみた送電系統側の短絡容量は1500[MV・A]、受電用三相変圧器の定格容量は1500[kV・A]で短絡容量は1500[kV・A]で、短絡インピーダンスは3[%]、力率改善用進相コンデンサの三相容量は300[kvar]である。
 また、高調波発生機器は電流源として扱えるものとし、系統及び機器の抵抗分並びに需要家構内の線路インピーダンスは無視できるものとする。
(1)高調波発生機器から発生する第5調波電流[A]を求めよ。
(2)受電点から送電系統に流出する第5調波電流[A](6.6[kV]換算値、以下同じ。)を求めよ。
(3)進相コンデンサに直列リアクトルを接続した場合、受電点から流出する第5調波電流が、直列リアクトルを接続していない場合に対して低減する割合[%]を求めよ。
 ただし、基本波における直列リアクトルのリアクタンス値は、進相コンデンサのリアクタンス値の6[%]とする。




【解答】
準備中

平成15年・二次試験-電力・管理【問3】


 こう長200[km]、回線数2回線の中距離送電線がある。周波数50[Hz]、電線1条について、抵抗0.1[Ω/km]、インダクタンス1.3[mH/km]、静電容量0.009[μF/km]であるとき、受電端開放時の受電端電圧の大きさの、送電端電圧の大きさに対する比率を求めよ。
 ただし、漏れコンダクタンスは無視し、送電線はT形回路で表すものとする。



【解答】
準備中

平成14年・二次試験-電力・管理【問4】

 図に示すような高圧配電線に発電設備を連系した。このとき、配電線への逆潮流はなかった。連系後、配電線の末端で二相短絡事故が発生したが、配電用変電所で過電流リレーが動作せず、配電線用遮断器が開放しなかった。これについて、以下の問に答えよ。
 ただし、計算諸元は次のとおりとする。また、発電設備のインピーダンス及び配電用変電所から電源側をみたインピーダンスは、それぞれ正相インピーダンスと逆相インピーダンスが等しいものとする。
 ・発電設備用定格出力 2000[kV・A]
 ・発電設備のインピーダンス %ZG=30[%](自己容量基準)
 ・変電所送出電圧 6600[V]
 ・配電線のインピーダンス
   変電所出口から発電設備連系点まで %ZF1=50[%] (10[MV・A]基準)
   発電設備連系点から短絡点まで %ZF2=40[%] (10[MV・A]基準)
 ・配電用変電所から電源側をみたインピーダンス %ZT=8[%](10[MV・A]基準)
 ・過電流リレーの整定値 700[A]
(1)過電流リレーの整定値は、発電設備の連系前では、正しい整定値であったことを説明せよ。
(2)この二相短絡事故が発生した時に、配電用変電所から供給される短絡電流を求めよ。
(3)発電設備の連系後、変電所の過電流リレーが動作するようにするためには、発電設備側に限流リアクトルを接地する必要がある。このリアクトルの必要最小容量を10[MV・A]基準の%インピーダンスとして求めよ。


【解答】

平成14年・二次試験-電力・管理【問5】


使用電圧154[kV]の架空送電線路の電線(裸電線)が、図のように径間の中央付近のおいて樹木と接近しているとき、次の問に答えよ。
ただし、この径間の電線は均等に着氷雪しており、また、その径間では、電線の方向と直角な方向から風が吹き、がいし装置も電線と同様に横振れして図のような状態にあるものとする。
(1)次の荷重を求める計算式を図中の計算諸元の記号を用いて示せ。
a.単位長さ当たりの電線の風圧荷重Ww[N/m]
b.単位長さ当たりの着氷雪重量Wi[N/m]
(2)図のように、電線が風により横振れしたときの電線の横振れ角θ[°]を求める計算式を図中の計算諸元の記号及び上記(1)のWw、Wiを用いて示せ。ただし、がいし装置の重量は無視するものとする。
(3)電線が風により横振れし、その角度がθ[°]であったときの電線と樹木との離隔距離S[m]を求める計算式を図中の計算諸元の記号を用いて示せ。ただし、電線と樹木の最大振れ範囲との離隔距離は、水平のとき最小となり、また、電線外径及び着氷雪の厚さによる補正はしないものとする。
(4)Wc=30[N/m]、Ww=39[N/m]、Wi=30[N/m]、L=9[m]、d=10[m]であったとき、上記(3)における状態の電線と樹木との離隔距離S[m]の値を求めよ。ただし、三角関数が必要な場合は下表を使用してもよい。(中間の値は比例計算する。)
θ[°]272829303132333435
sinθ0.45400.46950.48480.50000.51500.52990.54460.55920.5736
tanθ0.50950.53170.55430.57740.60090.62490.64940.67450.7002
(5)「電気設備の技術基準の解釈」に規定されている使用電圧154[kV]の架空送電線路の電線と樹木との離隔距離[m]の値を求め、上記(4)で求めた離隔距離がこの「解釈」に適合しているかどうかを述べよ。

図略

(計算諸元)
電線の単位長重量:Wc[N/m]
電線外形:D[m]
着氷雪の厚さ:b[m]
着氷雪の密度:ρ[kg/m3]
風圧:Pw[Pa]
重力加速度:g[m/s2]
電線の横振れ角:θ[°]
電線と樹木との離隔距離:S[m]
がいし装置の長さと電線の強度との合計長さ:d[m]
無風時の電線と樹木の最大振れ範囲との水平距離:[m]



【解答】
準備中

平成14年・二次試験-電力・管理【問6】


 図のようにA、B及びCの三つの電力系統が連系線で接続されている。各電力系統の全発電設備容量は、系統Aが40000[MW]、系統Bが31000[MW]、系統Cが30000[MW]であり、また、連系線の送電容量はそれぞれ系統Aと系統B間が1000[MW]、系統Aと系統C間が800[MW]である。
 各系統における発電設備が補修や事故等で停止する出力の停止確率の累積値は表のとおりである。
 以上の条件から、次の問に答えよ。ただし、問中の「電力不足確率」(LOLP:Loss of Load Probability)とは、ある一定の条件において、供給力が需要に対して不足する確率をいう。(確率計算の答は、小数点以下4けたとする。)
 (1)系統A、系統B及び系統Cがそれぞれ37100[MW]、26200[MW]、27800[MW]の需要に対応して運用されているとき、各系統がお互いに電力融通をしない場合、系統A、系統B及び系統Cのそれぞれの電力不足確率を求めよ。
 (2)系統A、系統B及び系統Cの需要が上記(1)と同じ条件のとき、系統Aが系統B及び系統Cから受けられる最大の融通電力[MW]はそれぞれいくらか。
 ただし、系統B及び系統Cはそれぞれの供給予備力を1500[MW]確保したうえで融通するものとする。
 (3)系統Aは系統B及び系統Cから融通を受けようとしたが、系統Aと系統C間の連系線が停止していたため、系統Bのみから融通を受けることとした。上記(1)と同じ需要の状態で系統Aが系統Bから700[MW]だけ融通を受ける場合の系統Aの電力不足確率を求めよ。ただし、系統Bは供給予備力を1500[MW]確保したうえで融通を行うものとし、自系統内の余力が融通電力を下回る場合は、融通は行わないものとする。
(注)余力=供給力-需要-供給予備力(1500[MW])


各系統の停止出力の確率累積値
停止出力P[MW]系統A系統B系統C
0≦P1.00001.00001.0000
500≦P0.74000.82000.7900
1000≦P0.48000.73000.6100
1500≦P0.22000.62000.3900
2000≦P0.10000.49000.2500
2500≦P0.07100.33000.1500
3000≦P0.04800.20000.0870
3500≦P0.03000.11000.0620
4000≦P0.01400.07100.0510
4500≦P0.00700.05000.0310
5000≦P0.00400.04500.0200
表の読み方:
・系統Aで1200[MW]以上停止している確率は0.4800である。
・系統Aで1800[MW]以上停止している確率は0.2200である。
・系統Aで停止出力Pが1200[MW]<P<1800[MW]である確率は、0.4800-0.2200=0.2600である。


【解答】
準備中

2011年10月26日水曜日

平成14年・二次試験-機械・制御【問1】


図は、三相誘導電動機の星型換算二次一相分の等価回路を示す。図において、E2[V]は二次誘導起電力、I2[A]は二次電流、r2[Ω]は二次抵抗、x2[Ω]は一次周波数f1[Hz]がf11[Hz]であるときの二次リアクタンスであり、いずれも一次換算値とする。また、sは滑りである。この誘導電動機について、次の問いに答えよ。
(1)二次電流I2を二次誘導起電力E2及び二次インピーダンスを用いて表せ。
(2)トルクT[N・m]を二次電流I2、一次周波数f1及び滑りsを含む式として示せ。
ただし、電動機の極数を2pとする。
(3)滑り周波数及びトルクが一定ならば、一次周波数を変えても二次銅損Pc2は変わらないことを示せ。
(4)一次周波数による速度制御を行なって一次周波数f1をf11からf12に変更したとき、滑り周波数及びE2/f1を一定として制御を行えばトルクは不変であることを示せ。ただし、一次周波数f11及びf12における滑りをそれぞれs1及びs2とし、二次リアクタンスx2の値は一次周波数に比例して変化するものとする。




【解答】
(1)図より、二次電流I2は、

辺々をsで割ると、

I2について整理すると、

・・・(答)

(2)電動機出力Po2、角周波数ω及びトルクT[N・m]は次の関係式で表される。

ここで、電動機出力Po2は、

また、角周波数ωは、

と表されるので、トルクT[N・m]は、






より、


(3)二次銅損を表す式は、
(2)の結果より

平成11年・二次試験-機械・制御【問3】


図1は自己消弧形半導体バルブデバイスを用いた単相ブリッジ形PWM変換装置を含む回路を示し、図2は順変換動作時の変換装置交流側の基本波ベクトル図を示す。
交流電源電圧は、その最大値をVsmとすれば、であり、また、PWM変換装置により、直流平均電圧Vdが一定となり、かつ、入力電流isが電源電圧vsと同相の正弦波となるように制御されている。ただし、変換装置及び回路には損失がないものとする。
この回路について次の問に答えよ。
(1)変換装置が順変換動作を行っているとき、定常状態における変換装置の交流入力電圧及び交流電流の最大値をそれぞれVcm及びIsmとして、変換装置の交流入力電力の瞬時値pcを求めよ。
(2)定常状態において電源から負荷に供給される電力の平均値PLをVsm及びIsmを用いて表せ。
(3)上記(1)及び(2)の結果から、定常状態において直流平滑コンデンサCdに出入りする電力の瞬時値Δpcを求めよ。ただし、変換装置のPWM制御に伴う入力電流のリプル及び直流電圧のリプルは無視できるものとする。
(4)上記(3)で求めたコンデンサCdに出入する電力Δpcが、近似的に直流平均電圧VdとコンデンサCdに出入する電流icdの積に等しいとおけるものとして、電流icdの最大値Icdmaxを求めよ。
ただし、変換装置入力電圧と入力電流の位相差θを15°、負荷平均電力PLを4[kW]、直流平均電圧Vdを220[V]とする。また、cos15°=0.9659として計算してよい。


図略

【解答】

平成11年・二次試験-機械・制御【問2】

表は、ビル等の受電設備用として用いられる三種類の電力用三相変圧器について、基本的な構造及び特性をまとめたものである。表の空欄に当てはまる内容を、表中の表現を参考にして述べよ。
項目  種類乾式変圧器モールド変圧器ガス絶縁変圧器
一般構造(1)(2)・鉄心と巻線が不活性ガス(SF6ガス)を封入した加圧密封容器内に格納されている
巻線の絶縁構造・ターン間絶縁にはシリコンワニスで処理したガラス繊維やマイカなどのテープを用いる。
・セクション間(コイル間)にはシリコンガラス積層板のスペーサを用いる。
・絶縁の耐熱クラスはH、Cなどである。
(3)(4)
冷却方式(5)(6)・封入ガスを冷却媒体とする直接冷却方式である。
・容量及び用途に応じて、自冷式又は風冷式、自然対流式又は強制循環式を選択して適用する。
使用環境(7)・屋内専用である
・巻線が直接空気に触れないので、じん埃の付着や吸湿による絶縁劣化のおそれがない。
(8)
電圧と容量電圧:主に6[kV]以下の回路に使用される。
容量:1[MV・A]程度までのものが多い。
(9)(10)


【解答】
準備中

平成14年・二次試験-機械・制御【問2】


 無負荷の単相変圧器に正弦波電圧を印加すると、励磁電流は鉄心の磁気的非線形特性のために、高調波を含んだひずみ波形となる。
 同一定格の単相変圧器3台を図のようにY-Δ結線して、二次側無負荷の状態で一次側線間に三相平衡6000[V]の正弦波電圧を加えた。二次側スイッチSの開放状態では、それぞれの極間に600[V]の電圧が現れ、また、このときの二次側u-v間及びv-w間の各電圧はそれぞれ447[V]であった。ここでは、高調波成分のうち第3調波のみを検討の対象にするものとして、次の問に答えよ。
(1)スイッチSの極間に電圧が現れた理由を述べよ。
(2)この単相変圧器の巻数比aを求めよ。
(3)スイッチSを閉じた状態では、Δ回路に流れる定常循環電流はわずかである。この理由を述べよ。




【解答】
準備中

平成14年・二次試験-機械・制御【問3】


図は、半波整流回路を使った電池の充電回路である。電池の電圧Eを24[V]、充電電流ID(平均値)を6[A]、電源電圧VS(実効値)を100[V]とするとき、次の値を求めよ。ただし、電池容量は十分大きく、充電期間中電池電圧は変わらないものとし、また、ダイオードの順電圧降下は無視出来るものとする。必要ならば次の値を使ってよい(中間値は比例計算のこと。)。
θ[rad]0.160.170.180.230.240.25
sinθ0.15930.16920.17900.22800.23770.2474
cosθ0.98720.98560.98380.97370.97130.9689
(1)電源電圧1サイクル中の充電期間Tc[rad]
(2)限流抵抗R[Ω]
(3)充電電流の実効値Irms[A]
(4)充電回路の効率η[%](出力電力/入力電力)
(5)ダイオードの逆電圧の最大値VINV[V]




【解答】
(1)電源電圧1サイクル中の充電期間
題意よりダイオードの順電圧降下は無視できるので、電源電圧VSー電池電圧E>0となっている期間のみ電流が流れ充電池が充電される。
従って、
電源電圧
電池電圧
であるから、






準備中

平成15年・二次試験-機械・制御【問4】


 図のようなフィードバック制御系について、次の問に答えよ。なお、U(s)は入力C(s)は制御量である。
(1)閉ループ伝達関数W(s)=C(s)/U(s)を求めよ。
(2)この閉ループ形の代表振動根をs=-1±j2とするためには、K1、K2の値をいくらにすればよいか。また、このときの残りの根も求めよ。
(3)上記(2)の閉ループ系の単位インパルス応答c(t)を求めよ。




【解答】
準備中

平成15年・二次試験-機械・制御【問2】


 コンデンサ、リアクトル及び抵抗で構成された受動形交流フィルタに関し、次の問に答えよ。ただし、コンデンサ及びリアクトルの損失は無視するものとする。また、抵抗は無誘導形で、温度や表皮効果による抵抗値の変化はないものとする。
(1)図1に示すようなL、C共振回路3ユニットを三相星形結線にした三相交流フィルタがある。フィルタの定格は三相6.6[kV]、50[Hz]、進相容量100[kvar]であり、第5調波で共振している。このときのコンデンサの静電容量C[μF]及びリアクトルのインダクタンスL[mH]を求め、基本波におけるそれぞれの端子電圧VC[V]及びVL[V]を求めよ。
(2)上記(1)で求めた値のL及びCを用い、図2のように抵抗Rを追加してハイパスフィルタを構成した。このL-R並列回路部分の第5調波におけるQを3とするとき、必要な抵抗の値R[Ω]と抵抗による三相分の基本波損失W0[W]を求めよ。
(3)図3のフィルタ回路は、L-C1の回路部分を基本波共振形、L-C1-C2の回路部分を第5調波共振形として回路定数を設定したものである。この回路の特長を、図1及び図2の回路と比較して述べよ。

図略



【解答】
準備中

平成15年・二次試験-機械・制御【問1】


 定格出力22[kW]、定格周波数60[Hz]、定格回転速度1150[min-1]、6極の三相誘導電動機を用い、歯車比8、効率0.95の減速歯車を介して直径80[cm]の巻胴を駆動し、質量300[kg]の荷重を巻き上げている。これについて、次の問に答えよ。
 ただし、電動機のトルクと滑りは比例関係にあるものとし、減速歯車以外の巻上装置の機械効率は1とする。
(1)この電動機の定格運転時のトルクTn[N・m]を求めよ。
(2)電動機軸に換算した負荷のトルクTM[N・m]を求めよ。
(3)荷重巻上げ時の電動機出力PM[kW]を求めよ。
(4)電源周波数制御を行って巻き上げ速度を60[Hz]運転時の2/3としたときの、電源周波数[Hz]及び電動機の滑り[%]を求めよ。ただし、同一トルクに対する周波数は、電源周波数にかかわらず一定とする。



【解答】
準備中

平成16年・二次試験-機械・制御【問4】


次の微分方程式で表されるシステムについて、以下の問に答えよ。
   
   
   
(1)入力を、状態変数をとし、このシステムを、次のような状態方程式の形で表したときのシステム行列A及び制御行列Bを求めよ。
   
(2)システムの特性方程式を求めよ。
(3)システムの安定性を判定せよ。
(4)システムの可制御性を調べよ。



【解答】
準備中

平成16年・二次試験-機械・制御【問3】


 多重インバータは複数個の方形波インバータユニットの出力を組み合わせて階段状波形を作ることにより、出力側の高調波成分を低減するために利用されている。図1は、角インバータユニットの通電幅をπとする直列単相二重インバータ回路の構成、図2(a)、(b)及び(c)は各部の電圧波形を示している。図1の中で、S11、S12、S13、S14及びS21、S22、S23、S24は各インバータを構成する半導体バルブデバイスを示している。
ここで、周期をTとする方形波のフーリエ級数(an)が次式で表されることを用いて、次の値を求めよ。
  
(1)図2(a)で示される方形波出力電圧e1のフーリエ級数展開式と第n調波成分の電圧(実効値)E1n
(2)2組のインバータユニットの出力電圧e1,e2を合成して得られる出力端子電圧e0(図2(c))の第n調波成分の電圧(実効値)E0n
(3)出力端子電圧e0(図2(c))の波形で、第3調波成分を除去するために必要な2組のインバータユニットの出力電圧位相差φの値




【解答】
準備中

2011年10月25日火曜日

平成16年・二次試験-機械・制御【問2】


表は、中容量の三相かご形誘導電動機及び三相突極形同期電動機の主な運転特性に関する記述である。表中の例にならって、空欄(1)から(5)について説明せよ。
運転特性 かご形誘導電動機 突極形同期電動機
トルクの発生原理 (1) 固定子巻線(電機子巻線)に供給される三相交流電流によって作られる回転磁界と回転子磁極との間に位相差が生じ、両者間に働く吸引力により、トルクが発生する。
始動方法 誘導電動機は始動電流が大きい。中容量機で直入れ始動が電源に悪影響を及ぼすおそれがある場合は、Y-Δ始動などにより始動電流を制限して始動する。 (2)
同期速度におけるふるまい (3) (4)
負荷特性に対する運転特性 負荷トルクが変化すると、新たに電動機トルクと負荷トルクが平衡する点に滑りが移り、回転速度が変化して運転を継続する。変化後の負荷トルクが停動トルクを超える場合は、電動機は停止する。 (5)



【解答】
(1) 固定子巻線(一次巻線)に供給される三相交流電流によって作られる回転磁界が回転子導体(二次導体)を切ることによって,フレミングの右手の法則により回転子導体に誘導起電力が発生し,電流が流れる。電流が流れる回転子導体を回転磁界が切ることによって,フレミングの左手の法則により回転子導体に回転磁界の回転方向と同じ方向の力が働き,この力によって電動機には回転磁界と同じ方向のトルクが発生する。
(2) 同期電動機は,磁極のみの回転子では,静止状態にあるときに固定子巻線に三相交流電流を流しても発生トルクの平均値は零であり,始動できない。
しかし,回転子の磁極面に制動巻線が施してあれば,三相誘導電動機のかご形回転子と同様の作用をさせることによって,始動することができる。通常,無励磁で始動開始し,回転速度が同期速度近くに達したときに励磁を与えて同期運転に入れる。始動に際しては,かご形誘導電動機と同様な考慮が必要である。
(3) 誘導電動機は,同期速度においては電動機トルクが零となり,電動機としては同期速度で運転ができない。
(4) 同期電動機は,負荷がある値に達するまで常に同期速度で運転することができる。
(5) 負荷が変化しても,変化後の負荷角δ がπ / 2〔rad〕以下であれば同期速度で運転を継続する。負荷トルクが電動機トルクの最大値より大きいと負荷角δ はπ / 2〔rad〕を超えて増加するが,電動機トルクはかえって減少し,電動機は同期外れを起こして停止するに至る。

平成16年・二次試験-機械・制御【問1】


 三相誘導発電機に関し、次の問に答えよ。
(1)三相かご形誘導発電機を三相同期発電機と比較して、その長所と短所をそれぞれ二つずつ挙げ、簡単に説明せよ。
(2)定格電圧200[V]、定格周波数50[Hz]、極数6の三相かご形誘導電動機がある。この電動機を誘導発電機として回転速度1030[min-1]で運転したときの次の値を求めよ。
 a.電気的出力[kW]
 b.機械的入力[kW]
 c.効率[%]
 ただし、一次換算星形一相分の一次及び二次インピーダンスは、それぞれ0.1+j0.2[Ω]及び0.11+j0.23[Ω]、励磁アドミタンスは0.02-j0.08[S]である。また、この運転状態における機械損は30[W]、漂遊負荷損は50[W]であり、計算にはL形等価回路を用いるものとする。



【解答】
(1) 長所と短所
下記の長所及び短所から,いずれか2 項目ずつを解答すればよい。
〔長所〕
① 線路に短絡事故が発生すると,励磁電流が消滅するので,同期発電機に比べると短絡電流は小さく,かつ,持続時間も短い。
② 系統への同期化の必要がなく,運転が簡単である。
③ 同期発電機のように乱調や同期外れがなく,運転は安定している。
④ 同期発電機のような(直流)励磁機を必要としない。
⑤ かご形回転子を用いることができるので,構造が簡単で安価である。
また,スリップリングがないので保守が容易である。
〔短所〕
① 誘導発電機は単独では動作しない。電圧を確立するために励磁電流を供給する同期発電機(あるいは電力系統)を必要とする。
② 系統並入時の突入電流が大きい。誘導発電機は同期速度近くで系統に投入されるが,その際定格電流の4 ~ 8 倍程度の突入電流が流れ,系統の瞬時電圧降下につながる。
③ かご形誘導発電機では力率制御が出来ない。
④ 電力系統の力率が低下する。誘導発電機に並列に接続されている同期発電機(あるいは電力系統)は負荷の要求する遅れ電流のほかに,誘導発電機に要する励磁電流も供給しなければならず系統の力率が低下する。
⑤ 同期発電機に比べてエアギャップが小さく,据付,保守上の取扱いに注意を要する。

(2)
a.電気的出力
一次換算星型一相分の一次インピーダンスを、二次インピーダンスを、励磁アドミタンスを、及び相電圧をとおくと、二次側回路に流れる電流は、


・・・①
となる。
また、励磁回路に流れる電流は、

 ・・・②
である。
従って、誘導発電機に流れる電流Iは、二次側回路に流れる電流①及び励磁回路②に流れる電流の和となる。すなわち、
 ・・・③
と表される。

次に、滑りsを求めると、誘導発電機の同期速度をNs、回転速度をNとすれば、

と表されるので、題意の値(Ns=1000[min-1]、N=1030[min-1])を代入して、

・・・④
となる。

従って、③式に題意の値及び④の結果を代入して整理すると、
誘導発電機に流れる電流が求められる。


以下、作成中