2011年10月25日火曜日

平成16年・二次試験-機械・制御【問2】


表は、中容量の三相かご形誘導電動機及び三相突極形同期電動機の主な運転特性に関する記述である。表中の例にならって、空欄(1)から(5)について説明せよ。
運転特性 かご形誘導電動機 突極形同期電動機
トルクの発生原理 (1) 固定子巻線(電機子巻線)に供給される三相交流電流によって作られる回転磁界と回転子磁極との間に位相差が生じ、両者間に働く吸引力により、トルクが発生する。
始動方法 誘導電動機は始動電流が大きい。中容量機で直入れ始動が電源に悪影響を及ぼすおそれがある場合は、Y-Δ始動などにより始動電流を制限して始動する。 (2)
同期速度におけるふるまい (3) (4)
負荷特性に対する運転特性 負荷トルクが変化すると、新たに電動機トルクと負荷トルクが平衡する点に滑りが移り、回転速度が変化して運転を継続する。変化後の負荷トルクが停動トルクを超える場合は、電動機は停止する。 (5)



【解答】
(1) 固定子巻線(一次巻線)に供給される三相交流電流によって作られる回転磁界が回転子導体(二次導体)を切ることによって,フレミングの右手の法則により回転子導体に誘導起電力が発生し,電流が流れる。電流が流れる回転子導体を回転磁界が切ることによって,フレミングの左手の法則により回転子導体に回転磁界の回転方向と同じ方向の力が働き,この力によって電動機には回転磁界と同じ方向のトルクが発生する。
(2) 同期電動機は,磁極のみの回転子では,静止状態にあるときに固定子巻線に三相交流電流を流しても発生トルクの平均値は零であり,始動できない。
しかし,回転子の磁極面に制動巻線が施してあれば,三相誘導電動機のかご形回転子と同様の作用をさせることによって,始動することができる。通常,無励磁で始動開始し,回転速度が同期速度近くに達したときに励磁を与えて同期運転に入れる。始動に際しては,かご形誘導電動機と同様な考慮が必要である。
(3) 誘導電動機は,同期速度においては電動機トルクが零となり,電動機としては同期速度で運転ができない。
(4) 同期電動機は,負荷がある値に達するまで常に同期速度で運転することができる。
(5) 負荷が変化しても,変化後の負荷角δ がπ / 2〔rad〕以下であれば同期速度で運転を継続する。負荷トルクが電動機トルクの最大値より大きいと負荷角δ はπ / 2〔rad〕を超えて増加するが,電動機トルクはかえって減少し,電動機は同期外れを起こして停止するに至る。

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