2011年10月25日火曜日

平成16年・二次試験-機械・制御【問1】


 三相誘導発電機に関し、次の問に答えよ。
(1)三相かご形誘導発電機を三相同期発電機と比較して、その長所と短所をそれぞれ二つずつ挙げ、簡単に説明せよ。
(2)定格電圧200[V]、定格周波数50[Hz]、極数6の三相かご形誘導電動機がある。この電動機を誘導発電機として回転速度1030[min-1]で運転したときの次の値を求めよ。
 a.電気的出力[kW]
 b.機械的入力[kW]
 c.効率[%]
 ただし、一次換算星形一相分の一次及び二次インピーダンスは、それぞれ0.1+j0.2[Ω]及び0.11+j0.23[Ω]、励磁アドミタンスは0.02-j0.08[S]である。また、この運転状態における機械損は30[W]、漂遊負荷損は50[W]であり、計算にはL形等価回路を用いるものとする。



【解答】
(1) 長所と短所
下記の長所及び短所から,いずれか2 項目ずつを解答すればよい。
〔長所〕
① 線路に短絡事故が発生すると,励磁電流が消滅するので,同期発電機に比べると短絡電流は小さく,かつ,持続時間も短い。
② 系統への同期化の必要がなく,運転が簡単である。
③ 同期発電機のように乱調や同期外れがなく,運転は安定している。
④ 同期発電機のような(直流)励磁機を必要としない。
⑤ かご形回転子を用いることができるので,構造が簡単で安価である。
また,スリップリングがないので保守が容易である。
〔短所〕
① 誘導発電機は単独では動作しない。電圧を確立するために励磁電流を供給する同期発電機(あるいは電力系統)を必要とする。
② 系統並入時の突入電流が大きい。誘導発電機は同期速度近くで系統に投入されるが,その際定格電流の4 ~ 8 倍程度の突入電流が流れ,系統の瞬時電圧降下につながる。
③ かご形誘導発電機では力率制御が出来ない。
④ 電力系統の力率が低下する。誘導発電機に並列に接続されている同期発電機(あるいは電力系統)は負荷の要求する遅れ電流のほかに,誘導発電機に要する励磁電流も供給しなければならず系統の力率が低下する。
⑤ 同期発電機に比べてエアギャップが小さく,据付,保守上の取扱いに注意を要する。

(2)
a.電気的出力
一次換算星型一相分の一次インピーダンスを、二次インピーダンスを、励磁アドミタンスを、及び相電圧をとおくと、二次側回路に流れる電流は、


・・・①
となる。
また、励磁回路に流れる電流は、

 ・・・②
である。
従って、誘導発電機に流れる電流Iは、二次側回路に流れる電流①及び励磁回路②に流れる電流の和となる。すなわち、
 ・・・③
と表される。

次に、滑りsを求めると、誘導発電機の同期速度をNs、回転速度をNとすれば、

と表されるので、題意の値(Ns=1000[min-1]、N=1030[min-1])を代入して、

・・・④
となる。

従って、③式に題意の値及び④の結果を代入して整理すると、
誘導発電機に流れる電流が求められる。


以下、作成中

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