2009年12月13日日曜日

平成14年・二次試験-電力・管理【問1】


タービン発電機に採用される固定子巻線水冷却方式に関する次の各項目について簡潔に述べよ。
(1)水冷却方式を採用する目的と発電機水冷却系統の概要
(2)水冷却方式発電機に付属される機器と制御装置の概要
(3)運転中に冷却水の循環が停止した場合の制御の概要



【解答】
(1)方式を採用する目的と発電機水冷却系統の概要
ア 水冷却方式を採用する目的
固定子巻線を、冷却効果の高い水で直接冷却することにより、発電機の大容量化又は小型化を図る。
イ 発電機水冷却系統の概要
固定子巻線の冷却水通路には中空導体の素線が用いられ、この素線内部に直接冷却水を流して冷却する。
①固定子冷却水は、発電機内部の冷却水入口ヘッダパイプで分岐される。
②固定子冷却水は、各固定子巻線内部を流れる。
③固定子冷却水は、発電機内部の冷却水出口ヘッダパイプで合流する。
④固定子冷却水は、発電機外部の冷却器により冷却され、循環再利用される。

(2)水冷却発電機に付属される機器と制御装置の概要
冷却水循環ポンプ、冷却水冷却器、冷却水貯水タンク、冷却水流量調整弁、冷却水処理装置
固定子冷却水制御装置

(3)運転中に冷却水の循環が停止した場合
ア 運転中に冷却水の循環が停止した場合、固定子巻線の温度上昇を防止するため自動的に出力制御が行われる。
イ 一定時間内に出力制御が行われない場合、自動的に停止する。



【標準解答】
(1) 水冷却方式を採用する目的と発電機水冷却系統の概要
固定子巻線を冷却効果の高い水で直接冷却することにより、発電機の大容量化又は小型化を図る。
固定子巻線の冷却水通路には中空導体の素線が用いられ、この素線の内部に直接冷却水を流して冷却する。
発電機外部で冷却等の処理をされた固定子巻線冷却水は発電機内部に導かれ、冷却水入口ヘッダパイプで分岐されて、絶縁物製の接続管を通して各固定子巻線内部を流れる。
各固定子巻線から出た冷却水は、絶縁物製の接続管を通して冷却水出口ヘッダパイプにまとめられて発電機外部に取り出され、再び冷却等の処理をされて循環使用される。
(2) 水冷却式発電機に付属される機器と制御装置の概要発電機には冷却水を循環させるためのポンプ、冷却水の冷却器、冷却水の膨張を吸収する冷却水タンク(貯水槽)、冷却水流量を調節する調整弁(冷却水の圧力を調整する調整弁)、純水である冷却水の導電率を固定子巻線の対地絶縁に必要な値以下に維持するためのイオン交換樹脂塔が設けられる。
また、冷却水の導電率、圧力、温度、流量の監視・制御を行う固定子冷却水制御装置が設けられる。
(3) 運転中に冷却水の循環が停止した場合の制御の概要
冷却水の循環が停止した場合は、冷却水(又は、固定子巻線)の過度の温度上昇を防止するため、自動的に発電機出力を減少させる制御(ランバック制御)が行われている。さらに、所定の時間内に出力が減少できなかった場合は、タービン及び発電機を自動停止する保護回路が設けられる。

2009年12月12日土曜日

平成8年・二次試験-機械・制御【問2】

分類:円筒形同期発電機の最大出力及び安定性

(計算問題のため略)

平成8年・二次試験-機械・制御【問1】

(分類)三相誘導電動機の特性を求める抵抗測定試験、無負荷試験、拘束試験の試験方法についての説明

(計算問題のため略)

平成8年・二次試験-機械・制御【問3】

分類:サイリスタ三相ブリッジ回路における、出力電圧、出力電流、入力電力等の算出

(計算問題のため略)

平成8年・二次試験-機械・制御【問4】

分類:フィードバック制御系の安定性

(計算問題のため略)


平成8年・二次試験-電力・管理【問4】

分類:一線地絡故障発生時の地絡電流算出

(計算問題のため略)

平成8年・二次試験-電力・管理【問3】


架空送電線路の故障点評定が、地中送電線路の場合に比べて、技術的に困難である理由を述べよ。


【解答】
ア 架空送電線路の故障点評定方式(フォルトロケータ)の種類
(1)サージ受信方式 故障時に発生するサージを利用して故障点評定を行う。
(2)パルス受信方式 送電線にパルスを印加し、故障点で反射して戻ってくるまでの時間を計測して故障点評定を行う。
(3)インピーダンス評定方式 故障時の電圧、電流から事故点までのインピーダンスを求めて故障点評定を行う。

イ 架空送電線路の故障点評定が、地中送電線路の場合に比べて困難な理由
a 地中送電線路の故障はそのほとんどが永久地絡であるのに対して、架空送電線路の場合は、遮断器がトリップして絶縁が回復すれば、相当の絶縁を持つようになるため、遮断器がトリップする前の故障継続中に評定しなければならない。
b 故障継続中に評定するので、 故障中のアーク電流や故障遮断時のサージなど妨害ノイズの影響を受けやすいため、評定信号の選定に配慮が必要となる。
c 外来ノイズの影響を受けやすい。
d 地中送電線路のほとんどは2端子であるが、架空送電線路は多くの分岐線を有するため、故障点からのサージや印加パルスの反射、透過現象が分岐点において生じるため複雑になる。

2009年12月11日金曜日

平成8年・二次試験-電力・管理【問2】


変電所の絶縁協調を検討するうえで、考慮すべき電力系統に発生する過電圧の主なものとして、
(1)雷過電圧
(2)開閉過電圧
(3)短時間過電圧
があるが、各々の発生要因について述べよ。

(1)雷過電圧
雷過電圧には、直撃雷(送電線への落雷又は鉄塔への落雷による逆フラッシオーバ)によるものと、誘導雷によるものとがある。
ア 直撃雷による雷過電圧
a 直撃雷の雷撃電流の波高値の最大値は100~150[kA]程度で負極性が多く、雷撃電流と雷撃点からみたサージインピーダンスの積の大きさを持つ雷過電圧が発生する。
b 架空地線により、直撃雷を受けないよう遮蔽しているが、遮蔽が失敗すると、雷撃電圧が送電線を通じ、変電所内に侵入する。
イ 誘導雷による雷過電圧
a 雷雲が送電線に近づいた場合に、雷雲の持つ電荷と逆の電荷が送電線に誘導されるが、雲間放電や他地点への落雷により、雷雲の持つ電荷が放電されると、送電線に誘導された電荷が自由電荷になり、サージ性の過電圧が発生する。
b 雷過電圧の波高値は100~200[kV]以下で正極性が多い。

(2)開閉過電圧
開閉過電圧は、遮断器や断路器の開閉により発生する過電圧で、進み小電流遮断時、事故電流遮断時、遅れ小電流遮断時、高速再閉路投入時に発生する。
ア 進み小電流遮断時
a 充電電流は無負荷送電線路やコンデンサの持つ静電容量を通じて流れるわずかな電流であり、電圧位相に対して90度進んでいるため、充電電流の自然零点で電流遮断されると、遮断器線路側には電圧波高値に相当する電荷が残留する。遮断器電源側の電圧は周期的に変化するため、 半サイクル後に遮断器極間に電圧波高値の2倍の電圧が発生し、再点弧すると電源の持つインダクタンスにより高周波振動を伴なう異常電圧が発生する。
イ 故障電流遮断
a 送電線路故障には、一線地絡、異相地絡、発電機脱調によるものがある。
b 一線地絡発生時には、健全相の相電圧が線間電圧まで上昇するため、これを遮断するときに異常電圧が発生する。
c -(編集中)
ウ 遅れ小電流遮断
a 変圧器の励磁電流を遮断能力の高い遮断器で遮断した場合、電流の自然零点となる以前に電流が遮断され、この時の急激な電流変化分(di/dt)に比例した異常電圧が発生する。
エ 高速再閉路投入
a 高速再閉路を行うと、事故遮断後線路側にかなりの残留電荷が滞留した状態で再閉路されるため、再点弧と同様な原理で異常電圧が発生する。

(3)短時間過電圧

a 一線・二線地絡時には、中性点電位の上昇により、健全相対地電圧は相間電圧まで上昇するため、過電圧が発生する。
b 負荷遮断時に送電線充電電流によるフェランチ現象や発電機の端子電圧上昇により、過電圧が発生する。

2009年12月7日月曜日

平成8年・二次試験-電力・管理【問1】

系統事故時に送電線の単相再閉路を実施した場合、以下の3点についてのべよ。
(1)タービン、タービン発電機の軸系への機械的影響
(2)タービン発電機固定子巻線への電磁力の影響
(3)タービン発電機回転し表面の温度上昇


【解答】
(単相再閉路の概要)
単相再閉路とは、送電線の1回線3相内の1相を開放し、残りの2相で送電を継続しながら、1秒程度で高速に再閉路を行うものである。
 これは、電力系統事故の大半が、雷による逆フラッシオーバの地絡事故で、かつ、その大半が1線地絡であることから、いったん事故相のみを遮断して、事故点のイオン消滅を待って充電を行えば、送電継続を行える場合が多いことに着目したものである。

(1)タービン、タービン発電機の軸系への機械的影響
ア タービンとタービン発電機は、回転系の軸が連結された構造になっている。
イ 単相再閉路を実施すると、機械的な入力トルクが一定であるのに対して、電気的な出力トルクが変化するため、軸ねじれ振動が発生する。
ウ 軸ねじれ振動が発生すると、軸部の材料疲労が生じ、トルクの大きさによっては、軸部各部材の損傷が発生する。

(2)タービン発電機固定子巻線への電磁力の影響
ア タービン発電機の固定子巻線にかかる電磁力を発生させる元となる電流には、
・地絡事故中の一線地絡電流(単相電流)
・欠相送電中の逆相電流
・再閉路時の過渡電流
がある。
イ 三相短絡事故と比べると発生する電磁力は小さい。
ウ 電磁力に弱いコイル端で、変形等が生じないように強固に支持する必要がある。

(3)タービン発電機回転子表面の温度上昇
ア 回転子に逆相電流が流れると、回転子には2倍周波数の渦電流が流れる。
イ タービン発電機は円筒形のため、この電流が回転子のくさび、制動巻線及びコイル保持環を通じて環流し、電流の集中する部分の過熱が発生する。
ウ 各部材料の熱的な短時間許容値を逆相電流の2乗とその継続時間の積により定まる値より大きな値で設計する。

2009年12月4日金曜日

平成7年・二次試験-機械・制御【問4】

分類:フィードバック制御系のゲイン等の算出

(計算問題のため略)

平成7年・二次試験-機械・制御【問3】

分類:誘導電動機の滑り・トルク等の算出

(計算問題のため略)

平成7年・二次試験-機械・制御【問2】

電動機の騒音について、その騒音を発生源により分類し、それぞれの防止対策を述べよ。


【解答】
(1)発生源による分類について
ア 電磁気的騒音
イ 機械的騒音
ウ 通風騒音

ア 電磁気的騒音
a 固定子と回転子のギャップを広く取ること。
b 突極機において、各々均等な磁極片を使用し、正確に取り付けを行うことで、発生磁界の不平衡をなくすこと。
c ギャップの不平衡をなくすこと。
d 誘導電動機に、斜めスロット、磁性くさびを使用すること。

 巻線を均等にし、電流の不平衡をなくすこと。

イ 機械的騒音
a 回転部分の偏心をなくすこと。
b 軸方向の振動を吸収するため予圧バネを使用すること。
c 基礎・据付等を完全にすること。
d 構造各部が共振しないよう設計すること。
e ブラシ・整流子等の接触部分の偏心をなくすこと。

ウ 通風騒音
a 低騒音形のファンを使用すること。
b 風速を低下すること。
c 通風ダクトを防音形にすること。
d 防音壁を設けること。
e 建物を防音構造にすること。

平成7年・二次試験-機械・制御【問1】

分類:直流電動機・サイリスタに関する問題

(計算問題のため略)

2009年12月3日木曜日

平成7年・二次試験-電力・管理【問6】

電源設備及び送変電設備の計画に当たって、適正な設備投資をしながら事故時の供給支障を最小限にするために考慮すべき事項について、(1)及び(2)の問に答えよ。
(1)電源設備の計画面(供給力、電源配置、電源の種類等)で考慮すべき事項
(2)送変電設備の計画面(適正規模、設備の信頼度、機器構成等)で考慮すべき事項


【解答】
(1)電源設備の計画面(供給力、電源配置、電源の種類等)で考慮すべき事項
ア 将来の需要予測に基づき、電源の構成、燃料の供給安定性、発電コスト、環境適合性などを総合的に判断し、電源のベストミックスを図る。
イ 事故時の供給信頼度を確保するため、日負荷曲線の動向把握及び将来予測に見合ったピーク・ミドル・ベース供給力の適正配分を行う。
ウ 電力供給設備の事故、渇水、予想外の需要増などの異常事態においても供給支障がないよう、適切な供給予備力を確保する。
エ 事故による電源脱落時の系統運用や系統規模から見て、適切なユニット容量とする。
オ 需要地近傍に発電所を建設する。
カ 火力発電及び原子力発電は、事故時復旧用に始動用電源を確保する。

(2)送変電設備の計画面(適正規模、設備の信頼度、機器構成等)で考慮すべき事項
ア 電源規模や需要予測に基づき、設備に余裕を持つ。
イ 基幹系統の送電ルート並びに保護装置等を二重化し供給信頼度を高める。
ウ 系統連系を強固にする。
エ 他社との電力融通を行う。
オ 基幹系統の重要変電所の母線構成の二重化する。
カ 短絡電流の増大に対応できるよう遮断器の遮断容量を高める。

平成7年・二次試験-電力・管理【問5】

分類:発電機の速度調定率に関する問題

(計算問題のため略)

平成7年・二次試験-電力・管理【問4】

カテゴリ:送電線への入射波等に関する問題

(計算問題のため略)

平成7年・二次試験-電力・管理【問3】

カテゴリ:送電線相互に誘導される電磁力に関する問題

(計算問題のため略)

2009年12月2日水曜日

平成7年・二次試験-電力・管理【問2】

火力発電所から発生する大気汚染物質の種類及びそれぞれによる大気汚染防止対策について述べよ。


【解答】
(1)大気汚染物質の種類
ア 煤塵(ばいじん) 燃料中の不燃物、及び燃料燃焼後のすす
イ 硫黄酸化物 燃料中の硫黄が酸化し生成されるSO2及びSO3
ウ 窒素酸化物 燃料中や空気中の窒素が酸化し生成されるNOx

(2)大気汚染対策
ア 煤塵(ばいじん)
a 良質の燃料を使用する。
b 適切な燃料と空気の混合比を保つ。
c 適切な炉内の温度を保つ。
d 集塵装置を設置する。
イ 硫黄酸化物
a 硫黄分の少ない燃料を使用する。
b 排煙脱硫装置を設置する。
ウ 窒素酸化物
a 窒素分の少ない燃料を使用する。
b 過剰空気率を低減する。
c 二段燃焼法を採用する。
d 排ガス再循環法を採用する。
e 低NOxバーナを使用する。
f 排煙脱硝装置を設置する。

2009年12月1日火曜日

平成7年・二次試験-電力・管理【問1】

一般の水車発電所の試験のうち、(1)から(3)までの試験の目的と試験内容を述べよ。
(1)負荷遮断試験
(2)非常停止試験
(3)負荷試験


【解答】
(1)負荷遮断試験
試験目的:
水車発電機運転中に急に負荷が遮断された場合、水車の回転速度、発電機電圧、水圧鉄管内の水圧などの変動値がそれぞれの安全許容値を超えることなく、無負荷運転に移行できるかを確認する試験
試験内容:
①最高落差において、1/4、2/4、3/4、4/4の負荷で順次実施していく。
②遮断前の回転速度、発電機電圧、力率は定格値とすし、負荷遮断は、遮断器操作により行う。
④各負荷において、水圧、回転速度、発電機電圧などを記録し、変動値がそれぞれの安全許容値内に収まっていることを確認したうえで、負荷増加をしていく。

(2)非常停止試験
試験目的:
水車発電機運転中に、発電機、変圧器などの内部故障が生じた場合、安全に非常停止動作が行われるかを確認する試験
試験内容:
①1/4程度の負荷において、非常停止用継電器の接点操作により非常停止信号を送出する。
②遮断器開放などが所定の順序に従って動作し、発電機が停止することを確認する。

(3)負荷試験
試験目的:
定格出力で連続運転が可能であることを確認する試験
試験内容:
①回転速度、発電機電圧、力率などをできる限り定格値に保ち、定格出力により連続運転する。
②機器の温度上昇が、定常状態において、それぞれの安全許容値内に収まっているかを確認する。
③機器の振動、騒音、漏油、漏水、及び補機類の異常の有無を確認する。