変電所の絶縁協調を検討するうえで、考慮すべき電力系統に発生する過電圧の主なものとして、 (1)雷過電圧 (2)開閉過電圧 (3)短時間過電圧 があるが、各々の発生要因について述べよ。 |
(1)雷過電圧
雷過電圧には、直撃雷(送電線への落雷又は鉄塔への落雷による逆フラッシオーバ)によるものと、誘導雷によるものとがある。
ア 直撃雷による雷過電圧
a 直撃雷の雷撃電流の波高値の最大値は100~150[kA]程度で負極性が多く、雷撃電流と雷撃点からみたサージインピーダンスの積の大きさを持つ雷過電圧が発生する。
b 架空地線により、直撃雷を受けないよう遮蔽しているが、遮蔽が失敗すると、雷撃電圧が送電線を通じ、変電所内に侵入する。
イ 誘導雷による雷過電圧
a 雷雲が送電線に近づいた場合に、雷雲の持つ電荷と逆の電荷が送電線に誘導されるが、雲間放電や他地点への落雷により、雷雲の持つ電荷が放電されると、送電線に誘導された電荷が自由電荷になり、サージ性の過電圧が発生する。
b 雷過電圧の波高値は100~200[kV]以下で正極性が多い。
(2)開閉過電圧
開閉過電圧は、遮断器や断路器の開閉により発生する過電圧で、進み小電流遮断時、事故電流遮断時、遅れ小電流遮断時、高速再閉路投入時に発生する。
ア 進み小電流遮断時
a 充電電流は無負荷送電線路やコンデンサの持つ静電容量を通じて流れるわずかな電流であり、電圧位相に対して90度進んでいるため、充電電流の自然零点で電流遮断されると、遮断器線路側には電圧波高値に相当する電荷が残留する。遮断器電源側の電圧は周期的に変化するため、 半サイクル後に遮断器極間に電圧波高値の2倍の電圧が発生し、再点弧すると電源の持つインダクタンスにより高周波振動を伴なう異常電圧が発生する。
イ 故障電流遮断
a 送電線路故障には、一線地絡、異相地絡、発電機脱調によるものがある。
b 一線地絡発生時には、健全相の相電圧が線間電圧まで上昇するため、これを遮断するときに異常電圧が発生する。
c -(編集中)
ウ 遅れ小電流遮断
a 変圧器の励磁電流を遮断能力の高い遮断器で遮断した場合、電流の自然零点となる以前に電流が遮断され、この時の急激な電流変化分(di/dt)に比例した異常電圧が発生する。
エ 高速再閉路投入
a 高速再閉路を行うと、事故遮断後線路側にかなりの残留電荷が滞留した状態で再閉路されるため、再点弧と同様な原理で異常電圧が発生する。
(3)短時間過電圧
a 一線・二線地絡時には、中性点電位の上昇により、健全相対地電圧は相間電圧まで上昇するため、過電圧が発生する。
b 負荷遮断時に送電線充電電流によるフェランチ現象や発電機の端子電圧上昇により、過電圧が発生する。
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