2009年12月7日月曜日

平成8年・二次試験-電力・管理【問1】

系統事故時に送電線の単相再閉路を実施した場合、以下の3点についてのべよ。
(1)タービン、タービン発電機の軸系への機械的影響
(2)タービン発電機固定子巻線への電磁力の影響
(3)タービン発電機回転し表面の温度上昇


【解答】
(単相再閉路の概要)
単相再閉路とは、送電線の1回線3相内の1相を開放し、残りの2相で送電を継続しながら、1秒程度で高速に再閉路を行うものである。
 これは、電力系統事故の大半が、雷による逆フラッシオーバの地絡事故で、かつ、その大半が1線地絡であることから、いったん事故相のみを遮断して、事故点のイオン消滅を待って充電を行えば、送電継続を行える場合が多いことに着目したものである。

(1)タービン、タービン発電機の軸系への機械的影響
ア タービンとタービン発電機は、回転系の軸が連結された構造になっている。
イ 単相再閉路を実施すると、機械的な入力トルクが一定であるのに対して、電気的な出力トルクが変化するため、軸ねじれ振動が発生する。
ウ 軸ねじれ振動が発生すると、軸部の材料疲労が生じ、トルクの大きさによっては、軸部各部材の損傷が発生する。

(2)タービン発電機固定子巻線への電磁力の影響
ア タービン発電機の固定子巻線にかかる電磁力を発生させる元となる電流には、
・地絡事故中の一線地絡電流(単相電流)
・欠相送電中の逆相電流
・再閉路時の過渡電流
がある。
イ 三相短絡事故と比べると発生する電磁力は小さい。
ウ 電磁力に弱いコイル端で、変形等が生じないように強固に支持する必要がある。

(3)タービン発電機回転子表面の温度上昇
ア 回転子に逆相電流が流れると、回転子には2倍周波数の渦電流が流れる。
イ タービン発電機は円筒形のため、この電流が回転子のくさび、制動巻線及びコイル保持環を通じて環流し、電流の集中する部分の過熱が発生する。
ウ 各部材料の熱的な短時間許容値を逆相電流の2乗とその継続時間の積により定まる値より大きな値で設計する。

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