2011年10月25日火曜日

平成20年・二次試験-電力・管理【問6】

〔問6の標準解答〕
(1) 一般水力による発電
特徴:自然エネルギーであるために自然条件に左右される面はあるが,海外に依存する必要のない純国産エネルギーという供給安定性,発電時に二酸化炭素(CO2)や硫黄酸化物(SOx)等を発生しない環境適合性,燃料を使用しない発電コスト安定性という経済性の特徴がある。
なお,これらのエネルギーは,2003 年4 月に施行された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS 法)の対象エネルギーとして,その導入・利用が支援され,推進が図られている。
課題:既に一般水力の開発が相当進んでいるため,今後の開発は立地地点の奥地化や小規模化となり,開発コストの上昇が見込まれるため,低落差や小流量に適応した技術の向上が課題である。
(2) 石炭燃料による火力発電
特徴:石炭による火力発電は,供給力の運用上において電力〔kW〕及び電力量〔kW・h〕ともに,長時間継続して運転を行い安定的に電気を供給する電源として重要な役割を果たしてきている。燃料である石炭は海外に依存しているが,世界各国に幅広く分布する等,他の化石燃料に比べ供給国の多様性という供給安定性が高く,大気汚染防止面からは脱硫や脱硝技術などの利用により環境適合性,経済性にも優れているという特徴がある。
課題:石炭は,他の化石燃料に比し,燃焼過程における単位熱量当たりの二酸化炭素排出量が大きいこと等,環境への適合を図る観点から課題を抱えている。このための対策技術が必要であり,燃料自体のガス化によるクリーン化,超臨界圧採用による高効率発電,ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせて発電する石炭ガス化複合発電(IGCC)等のより効率の高い発電利用技術の開発・導入が課題である。
(3) 太陽光,風力,バイオマスの新エネルギーによる発電
特徴:新エネルギーのうち,太陽光,風力,バイオマスの再生可能エネルギーは,地域におけるエネルギー自給率の向上,地球温暖化対策に資するほか,分散形エネルギーシステムとしてのメリットや国民がエネルギー供給に参加する機会を与えることもできる貴重なエネルギーである。なお,これらのエネルギーは,2003 年4 月に施行された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS 法)の対象エネルギーとして,その導入・利用が支援され,推進が図られている。
課題:当該新エネルギーは,エネルギー密度が一般的には小さく,現時点ではエネルギー変換効率や設備利用率など,競合するエネルギーと比較して,出力の不安定性や高コスト,電力品質の確保等の課題を抱えている。このため,コスト低減や系統安定化,性能向上等の技術開発が課題である。

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