2011年10月18日火曜日

平成17年・二次試験-電力・管理【問6】


近年、大型発電機を中心として、励磁系の制御方式に超速応励磁装置が採用されている。これについて、次の項目を簡潔に説明せよ。
(1)超速応励磁装置の目的及び機能
(2)超速応励磁装置を採用した場合に、系統安定化装置(PSS:Power System Stabilizer)を併せて設置する理由
(3)PSSの機能



【解答】
(1)超速応励磁装置の目的及び機能
目的:超速応励磁装置は,系統に短絡事故や地絡事故などの大きなじょう乱が発生した際の,発電機の第一波動揺を抑制し,過渡安定度の向上を図る。
機能:超速応励磁装置は,サイリスタ励磁方式などの応答速度の速い励磁装置を用いて,系統事故時の発電機端子電圧の低下を迅速に検出し,急速に界磁電流を増加させることにより発電機の内部誘起電圧を上げ,同期化力を増大させることによって,脱調防止を図る。

(2)超速応励磁装置を採用した場合に,系統安定化装置(PSS:Power System Stabilizer)を併せて設置する理由
超速応励磁装置は同期化力を増大させて過渡安定度を向上させる効果がある一方,制動力(ダンピング力)が低下するため,定態安定度が低下し,発電機動揺が持続するおそれがある。このため,超速応励磁装置を設置する場合は,系統安定化装置(PSS)を組み合わせることにより,発電機第一波動揺以降の定態安定度向上を図る。

(3)PSSの機能
PSSは,発電機有効電力変化分(ΔP)や回転子回転数変化分(Δω)(又は,周波数変化分(Δf))の信号により,励磁装置を制御し,内部誘起電圧を変化させて電気的出力を増減させることにより,ダンピングトルクを増加させる装置である。これにより,発電機動揺を速やかに減少させ,定態安定度向上を図る。

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