2011年10月18日火曜日

平成16年・二次試験-電力・管理【問1】


 火力発電所における大容量タービン発電機に関し、次の点について、水力発電所の水車発電機との相違点を挙げ、それらを対比して説明せよ。
(1)回転速度
(2)主軸の設置方向と構造
(3)回転子の構造



【解答】
(1)回転速度
タービン発電機は、通常、蒸気タービンに直結して駆動される。
蒸気タービンは高効率化及び小形化の点では高速であることが望ましいが、主として蒸気タービンの最終段動翼と発電機回転子の機械的強度の点、並びに同期機の最少極数が2 極であることと系統の周波数の関係から、回転速度は50[Hz]系統用が3,000[min-1]、60[Hz]系統用が3,600[min-1]に選定されている。
大容量水車発電機は,利用する水力地点の落差に応じて定められる比速度の限界内でより高い同期回転速度が選ばれるが、100~500[min-1]程度のものが多く、タービン発電機に比較して低速であり、多極機となる。

(2)主軸の設置方向と構造
タービン発電機は,高速機であるので,回転子径を極力小さくして軸方向に長い構造とするため横軸形となる。
水車発電機は,多極低速機であることから回転子径が大きく軸長は短い。
横軸構造のものもあるが,設置に必要な床面積が小さく回転部の重量及び水圧スラスト荷重の支持が容易なこと,並びに軸系支持剛性の確保が容易なことから,立て軸構造が多く適用されている。

(3)回転子構造
タービン発電機は,高速度での遠心力に対して十分な強度を保持するため,主軸と一体鍛造の非突極構造(円筒形)である。回転子は材料強度によりその直径が制限される。大形機では,通常の運転速度が二次危険速度を上回る場合もある。制動巻線は回転子の端部に,また,場合によってはくさび下にも設けられることがある。
水車発電機は,回転速度が比較的低く回転子直径を大きくできるので,設計が容易で経済的な組立構造の突極形である。これは,水車の要求するはずみ車効果を満足させるためにも好都合である。回転速度は常に一次危険速度より低い。また,制動巻線は回転子の磁極頭に設けられる。

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