2011年10月18日火曜日

平成17年・二次試験-電力・管理【問2】


超高圧など重要変電所に使用されるGIS(SF6ガス絶縁開閉装置)の次の項目の診断技術について、その概要を述べよ。
(1)GISの絶縁部と通電部
(2)SF6ガス遮断器の主回路部と機構部


(1)GISの絶縁部と通電部
a.絶縁部の診断技術
ⅰ.異物の検出
絶縁異常の主な原因としては,タンク内への異物の混入があげられる。
このため,診断技術として,GIS 組み立て後,内部に有害な異物が存在しないことを外部から判断する方法が採用されている。
異物が存在した場合に生じる部分放電・光・機械的振動・分解ガスなどを電気的・機械的・光学的及び化学的信号を外部から検出する方法が採用されている。最も実用化されている方法としては,異物が交流電界内を振動中に,タンク表面に衝突して発生する音波や異物の存在により発生する部分放電を超音波センサや加速度センサにより検出する方法である。
ⅱ.ガス圧異常の検出
ガス圧力低下異常の要因としては,ガス配管,フランジ部などのガス漏れがある。
ガス漏れに対する診断技術としては,ガス圧力の変化を測定する方法と容器からのガス漏れがないことを直接的に検出する方法があり,ガス圧力センサやガス密度スイッチを用いた測定,ガスリークディテクタによる検出が採用されている。
ⅲ.ガス中水分測定やガスの成分分析による異常の検出
ガス中水分の測定によりシール部の異常の検出やガスの成分分析を行い,部分放電などに起因する分解ガス発生による異常を検出する方法である。
b.通電部の診断技術
通電異常の要因として,主回路導体の接触不良がある。この接触不良を検出する診断技術としては,導体の接触抵抗を測定する方法,不良箇所から発生する部分放電を検出する方法,X 線透過写真による診断,局部過熱を温度センサ,赤外線カメラで検出する方法などが採用されている。
その中で,GIS 運転後の診断技術としては,局部過熱や部分放電を検出する方法が採用されている。

(2)SF6ガス遮断器の主回路部と機構部
a.主回路部の診断技術
内部異常の検出,通電異常の検出,ガス圧力低下異常,ガス中水分異常の検出などGIS 全体と共通の診断技術の他,コンタクト損耗異常の検知がある。
このコンタクト損耗異常の主な要因としては,大電流遮断時のコンタクトの損耗がある。コンタクトの損耗は開閉特性(ワイプ量の測定など)を確認する方法があるが,電流遮断によるコンタクトの損耗は,一様に発生しないため,開閉特性では確認できない場合もあり,累積遮断回数により管理する場合がある。
b.機構部の診断技術
操作機構部固渋の要因であるグリスの劣化や電装品の不動作に対する操作機構部の異常の診断がある。
診断技術としては,開閉動作特性を測定し,動作特性不良を判定する方法が開発されている。開閉動作特性を測定する方法としては,制御電流や補助スイッチの動作を測定する方式,機構部の動作速度をセンサにて検出する方式などがある。
また,油圧操作用油圧系統の異常を油圧ポンプの動作頻度で検出する方法などがある。

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