タービン発電機の界磁喪失に関する次の事項について説明せよ。 (1)界磁喪失が発生する主な原因 (2)界磁喪失時の発電機及び系統に与える影響 (3)界磁喪失保護に用いられるリレーの種類と検出原理 |
【解答】
(1)界磁喪失が発生する主な原因
タービン発電機における界磁喪失の原因は以下のものが考えられる。
①界磁遮断器の開放
②励磁機事故
③ブラシ接触部事故
④界磁回路の短絡、2線地絡又は断線
(2)界磁喪失時の発電機及び系統に与える影響
ⅰ 発電機に与える影響
タービン発電機の運転中に、何らかの原因で界磁電圧が異常に低下したり、完全に失われた場合、発電機の電気的出力が減少して回転数は上昇し、無効電力が減少して進相運転となり、端子電圧も低下する。
この状態が継続すると、発電機は誘導発電機となる。タービン発電機には円筒形回転子が使われているため、回転子に生じる誘導電流が回転子鉄心及びくさび・保持環を流れるため、急速に過熱するおそれがある。また、固定子巻線には系統から過大な無効電流が流れ込み固定子巻線が過熱する。
ⅱ 系統に与える影響
系統からみると、無効電力が減少することで系統電圧の低下となり、系統の安定度が急速に低下するため、小さな系統では電源脱落や負荷遮断に至る可能性もでてくる。
したがって、タービン発電機が界磁喪失に至った場合には、すみやかに発電機を系統から切り離す必要がある。
(3)界磁喪失保護に用いられるリレーの種類と検出原理
界磁喪失の保護には距離リレーを用いる。発電機端子電圧を電流で除したものが距離リレーのみるインピーダンスであり、発電機が界磁喪失を生じると、このインピーダンス軌跡は発電機の直軸同期リアクタンスXdと直軸過渡リアクタンスの1/2とを直径とする円の中に入ることになり、これを検出する。
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