2011年10月20日木曜日

平成22年・二次試験-電力・管理【問2】


 代表的な調相設備のうち電力用コンデンサ、同期調相機及び静止型無効電力電力補償装置(他励式SVC)について、各装置の仕組み、調整方法、電圧調整や安定度への効果、電力損失及び保守性の観点から特色をそれぞれ述べよ。



【解答】

○電力用コンデンサ
・コンデンサにより構成された静止機器で、高調波や突入電流を抑制するために直列リアクトルを接続することがある。
・開閉器の開閉操作によって遅れ無効電力を発生(進み無効電力を補償)・停止する。
・開閉器の開閉操作により調整するため、電圧や無効電力の変化が段階的となり、きめ細かな電圧調整や安定度の向上への期待はあまりできず、開閉器操作により系統に急激な変化が生じないよう1台当たりの容量選定に配慮が必要である。
・単純な構造であり、同期調相機やSVCよりも電力損失が小さい。
・静止機器であるため保守は容易である。

○同期調相機
・無負荷状態で運転する同期電動機。
・界磁電流の調整により無効電力を発生・吸収(進み・遅れ双方を補償)する装置であり、電圧調整の即応性に優れる。
・調整が連続的で、回転子の慣性質量により系統の電圧特性や安定度を向上させる効果がある。
・回転機固有の軸受・ブラシの摩擦損や風損、励磁回路損などの影響により、電力用コンデンサやSVCに比べて電力損失が大きい。
・回転機であることから、可動部分や補機類があり、電力用コンデンサやSVCに比べて保守に時間と労力が多くかかる。

○静止型無効電力補償装置(SVC)
・リアクトル,電力用コンデンサ,これらを制御するサイリスタで構成する装置。
・サイリスタの点弧角位相を制御することによりリアクトルや電力用コンデンサの通過電流を連続的に変化させ,無効電力を発生・吸収(進み・遅れ双方を補償)する装置であり,電圧調整の即応性に優れる。
・リアクトルや電力用コンデンサ電流の大きさを変化させることにより連続的に調整できるため,系統の電圧特性や安定度を向上させる効果がある。
なお,電力用コンデンサの開閉を行う方式(TSC)では,リアクトル電流の位相制御を行う方式(TCR)と組み合わせることで連続的な調整が可能である。
・リアクトル,電力用コンデンサ,サイリスタなど複数機器から構成されるため,電力損失は電力用コンデンサよりも大きいが,同期調相機よりも小さい。
・静止機器ではあるが,サイリスタ冷却用の装置もあり,保守は電力用コンデンサほど容易ではない。

0 件のコメント:

コメントを投稿