同期発電機の自己励磁現象について、次の問に答えよ。 (1)自己励磁現象はどのような場合に発生する現象か、説明せよ。 (2)自己励磁現象によって発生する発電機端子電圧について、発電機の無負荷飽和曲線を用いて説明せよ。 (3)系統側の条件が同じ場合に、大容量の水力発電機、小容量の水力発電機、大容量の火力発電機、小容量の火力発電機のうちどれが最も自己励磁現象を起こしにくいか、その理由を付して答えよ。 (4)上記(3)に示した発電機の選択以外に、自己励磁現象を防止するための対策を二つ挙げよ。 |
【解答】
(1)回転している同期発電機に,無励磁のままで容量性負荷を接続した場合に発生する現象をいう。
(2)発電機の端子電圧の上昇は次のような順序で説明できる(図略)。
①界磁回路の残留磁気により磁界が発生し、電機子巻線にわずかな電圧が発生する。
②電機子巻線に発生したわずかな電圧により、容量性負荷により進み電流が流れる。
③進み電流により界磁回路に増磁作用が生じる。
④界磁回路の磁界が増加し、端子電圧が上昇する。
⑤①~④までの現象が繰り返されることにより、端子電圧はある極限値に達して安定する。
(3)大容量の水力発電機である。
<理由>
発電機が自己励磁現象を起こすことなく送電線を充電できる最大充電容量Qは次式より求められる。
:充電電圧
:同期リアクタンス(不飽和値)
水力発電機の自己容量ベースの同期リアクタンスは火力発電機に比べて小さく,また,容量が大きいほど系統からみた同期リアクタンスが小さくなる。そのため最大充電容量が大きくなり最も自己励磁現象を起こしにくい。
(4)
①受電端に並列リアクトルを接続する。
送電線路の静電容量を補償し,進み電流による自己励磁を減少できる。
②発電機を複数台,母線に接続する。
各発電機は容量と短絡比との積に比例して充電電流を分担するので安全に充電できる。
(ただし,この場合,界磁電流が小さいため同期化力が小さく並列運転に困難を伴う場合もある。)
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