2011年10月20日木曜日

平成22年・二次試験-電力・管理【問4】


電力系統は、構成要素である送電線・変電機器などの設備が有機的に関係し合い、システム全体として、最適な機能を発揮するように設計する必要がある。このような電力系統と設備との協調(「システムコーディネーション」と呼ばれている)に関して、次の問に答えよ。

(1)系統の大容量化・集中化により増大する短絡電流を抑制するために、変圧器の仕様及び変圧器の機器設計で考慮すべき事項を述べよ。
(2)大都市に電力を供給するため275[kV]の大容量電力ケーブルを使用した系統が導入されている。架空系統と異なり、地中系統に用いられる送電用遮断器、リアクトル開閉用遮断器及び計器用変圧器についてそれぞれ考慮すべき事項を述べよ。
(3)500[kV]送電線では、開閉過電圧が送電鉄塔の大きさを決める大きな要因である。この開閉過電圧を抑制するために、変電所の機器で採用している対策を述べよ。



【解答】
(1)①変圧器の仕様
短絡電流を抑制するために、変圧器のインピーダンスを大きく設定する。
変圧器のインピーダンスを大きくすると、電圧変動率が大きくなり、系統安定度が悪くなる傾向があるためシステムコーディネーションの観点から、系統と機器のバランスを考慮した、最適インピーダンス値を選定する。
例えば、500kV変圧器における一般的なインピーダンスが14[%]であるのに対して、高インピーダンス変圧器では23[%]が用いられることが多い。
② 変圧器の機器設計で考慮すべき事項
高いインピーダンスにするために、変圧器巻線の巻回数増大,巻線径増大が行われる。

(2)①地中送電線用遮断器
地中送電線路では、充電遮断電流の値が架空送電線路より大きいため、進み小電流遮断電流値として、架空送電線路より大きな値が必要である。
例えば、275kV系統では、充電遮断電流は架空送電線用では 200[A]であるのに対して、地中送電線用では500[A]が規格化されている。
②リアクトル開閉用遮断器
275[kV]系統ではケーブルの充電容量が大きいため、それを補償するためにリアクトルが設置されることが多い。リアクトル開閉用遮断器には、再発弧サージへの考慮が必要である。その抑制対策として、開極位相制御が採用されている。
③計器用変圧器
ケーブル系統では残留電荷の減衰時定数が長いため、計器用変圧器によって残留電荷を放電する機能が求められる。

(3)送電線に発生する開閉過電圧を抑制するため、500kV変電所に設置される送電線用の遮断器に、抵抗投入方式を採用している。投入抵抗値は1,000[W]が用いられ,開閉過電圧は2[p.u.]以下に抑制されている。
最近では,変電所の送電線回路に高性能避雷器を併用する場合も多く、より効果的に送電線に発生する開閉過電圧の抑制が行われている。

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