2011年10月18日火曜日

平成16年・二次試験-電力・管理【問6】


 高電圧機器の絶縁性能を確認するために行われる各種非破壊試験のうちの部分放電試験に関する次の事項について、簡潔に説明せよ。
(1)部分放電現象と絶縁性能との関連
(2)代表的な試験(測定)方法を二つ以上挙げ、その原理



【解答】
(1)部分放電現象と絶縁性能との関連
部分放電は,電極(導体)間に電圧を加えたときに,その電極(導体)間の絶縁媒体中で部分的に発生する放電である。これは,絶縁物内の異物やボイドの存在,絶縁物表面への異物の付着,電極の突起などがあると,その部分への電界の集中が起こって発生する。
部分放電が発生しても直ちに絶縁破壊に至ることは少ないが,局部的な絶縁劣化を引き起し,最終的には絶縁破壊に至ることがあるので,絶縁材料の寿命を決定する要因となる。
部分放電試験は,このような部分放電を検出することにより,電気絶縁の健全性や絶縁状態の評価を行うとともに,初期段階の絶縁劣化でも検出できることが多い。経年的に実施すれば絶縁破壊の発端となる局部的な絶縁不良や絶縁劣化を判定することができる。

(2)代表的な試験(測定)の方法
a.パルス電流検出法
一定時間内に発生する部分放電パルスの電荷量,発生頻度,放電エネルギー,交流電圧位相との関係などを電気信号として取り出す方法であり,具体的には,次のような測定が実施されている。
① 所定の電圧において,ある大きさ以上の部分放電が発生しないことを確かめる。
② 部分放電の開始及び消滅電圧を測定する。
③ 所定の電圧で部分放電の強さを測定する。
b.音響的方法
部分放電により発生する音波や超音波を高感度マイクロホン,増幅器などを用いて検出する方法で,変圧器などの油中放電に対しては,マイクロホンを油中に挿入したり,タンクの外壁に設置して放電音を検出する。
放電の電気的パルスに対する音波や超音波の検出時間遅れから,放電発生位置の標定を行う。
c.光学的方法
放電の発光を光電子増倍管や光ファイバセンサなどを用いて光学的に測定する方法である。

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