2011年11月8日火曜日

平成18年・二次試験-電力・管理【問2】


主要変電所の直列機器(主要変圧器,遮断器など),電線・電力ケーブルなどの選定時の電流協調に関して,留意すべき次の事項について簡潔に述べよ。
(1)定常時(過負荷時を含む)の電流協調
(2)事故時(系統の短絡事故時や地絡事故時)の電流協調



【解答】
(1) 定常時の電流協調
定常運転中に連続的に流れる電流の許容値は,機器では定格電流,電線・電力ケーブルでは連続許容電流で表される。
過負荷時の直列機器の電流容量は,事前の通過電流が定格電流以下であれば,短時間の過負荷が可能である。この際注意すべきことは,接続する機器や電線・電力ケーブルなど種類によって温度上昇の時定数が異なることで,主要変圧器(油入)の様に時定数の比較的大きいものと断路器や電線のように時定数の比較的小さいものについて,個々に想定した過負荷時間について適切な電流協調を図ることが必要である。
特に,主要変圧器や遮断器などの主要機器の過負荷時の耐量が損なわれないように,直列に接続される機器や電線・電力ケーブルの定格や連続許容電流を選定する必要がある。

(2) 事故時の電流協調
系統の短絡や地絡事故時に流れる直列機器や電線・電力ケーブルにおける故障電流の許容値は,機器では定格短時間電流(変圧器では,短時間電流強度),また,電線・電力ケーブルでは,瞬時許容電流で表されている。
これらの電流を決める要因も事故発生から事故除去までの通電時間が1 ~ 2秒ときわめて短時間であることから,定常時の場合よりかなり高めに選定される。
特に,直接接地系統では,地絡や短絡故障時には,大きな故障電流が流れるため,主要変圧器巻線や三相GIS(SF6 ガス絶縁開閉装置)などへの大きな電磁機械力が発生し,故障除去が遅れた場合には,過熱損傷のおそれがある。
このため,極力,保護・制御装置の信頼度向上を図り,確実かつ早期の故障箇所の除去により,事故の局限化を図る必要がある。
その他,地絡や短絡故障時には大きな大地帰路電流が流れ,通信線や低圧制御回路などに,過電圧を誘起したり,接地電位の上昇を招いたりするおそれがあるので注意を要する。

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