2011年10月19日水曜日

平成18年・二次試験-電力・管理【問1】


 タービン発電機が安全に連続的に運転できる領域(有効電力、無効電力)を示した曲線を可能出力曲線という。
1 可能出力曲線(複数の弧で構成される)を例示せよ。
2 上記曲線の各区分の制限要素を挙げ、それらが制限を受ける理由について説明せよ。



【解答】
(1)可能出力曲線の例示

(2)各曲線の制限要素の説明

弧A ):回転子巻線温度による制限(界磁巻線温度による制限も可)
タービン発電機の一相分の有効電力P 及び無効電力Q はで示される。
ここで,
Ed:発電機内部誘起電圧
V:端子電圧
xd:同期リアクタンス
δ :内部相差角
I:電機子電流
θ :端子電圧と電機子電流の位相差
上式より,①式は,点(0, )を原点とした半径の円を示すものであり,Ed が界磁電流に比例した長さとなるため界磁電流一定の条件でMW- Mvar 座標上に作図すると原点から縦軸進み力率側にに等しい長さの点を中心にして定格点P を通る円となる。

弧B ):固定子巻線温度による制限(電機子巻線温度による制限も可)
定格点をP とすると,固定子巻線温度による制限は固定子電流の制限であるので,固定子電流一定の条件で,MW- Mvar 座標上に表すと原点を中心として定格点P を通る円となる。

弧C ):固定子鉄心端部での漏れ磁束に起因する過熱による制限固定子端部の漏れ磁束は,固定子鉄心端末部から界磁コイルの保持環を通り再び鉄心に入っている。この磁束が,固定子鉄心端末部及び端末構造物に渦電流損及びヒステリシス損を生じ温度を上昇させる。
温度上昇は,進相域になるほど端部の漏れ磁束の増大に伴って大きくなる。
Q 点を固定子鉄心端部の許容温度に対応する力率とすれば,このときの端部漏れ磁束が一定になる軌跡は,Q 点を通り進み力率側に向かった円となる。
なお,発電機内水素ガス圧力を高めることにより冷却効果を増し,可能出力領域を広めることができる。

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